今回は、静岡県静岡市清水区のfun-fam-farm『青木農園』(https://fun-fam-farm.com/)の広報を務める ますもとけいこさんにインタビューをさせていただきました。
ますもとさんのご実家である青木農園は、糖度20度以上を誇る皮ごと食べられるキンカン『こん太』を栽培しています。代表は弟の青木 雄基さんで、姉のますもとさんは広報として支えています。
2019年2月に行われました、広報担当者による自社をプレゼンしアピールする『広報たんアワード※1』に参加された、ますもとさんにアワード当時の様子を振り返っていただきながら、その後メディアから取材が殺到したお話、そして今後についても伺いました。
※1広報たんアワード
広報担当者1人1人が能力をあげ、自社をどのようにアピールし魅力的に伝えているかを、プレゼンし競う大会です。
《青木農園》https://fun-fam-farm.com/
画像引用:https://fun-fam-farm.com/
《メディア掲載、放送履歴》
2019年 | 静岡新聞社 日刊スポーツ ビジネスレポート |
2020年 | SBS『それいいね!』 (1/15) テレビ静岡『ただいまテレビ』(2/17) ビジネスレポート(2/20) 静岡市の農業政策課から取材 ラジオ(2/22)Kmix(ますもとさん出演) SBS『ORANGE』(3/10) |
キンカンこん太への愛があふれるインタビューとなっています。
》先日こん太をいただきましたが、本当に皮ごと食べられるんですね。酸味がなく甘味が強くてとてもおいしいキンカンでした。そのこん太に偽物が出たという話を聞きましたが?
そうなんです。どうやら(その偽物は)農家さんではない人で、庭先になっているキンカンに「こん太」と書いて出してあったそうで、弟が食べてみたら酸っぱいものだったとか。偽物が出回るくらい認知が上がってきたんだ、と考えるようにしています(笑)
》それくらいこん太は有名になってきたんですね。昨年(2019年)ますもとさんは第2回目の広報たんアワードに参加されましたよね。なぜ出ようと思われたのでしょうか。
第1回目の広報たんアワードに友人もふくめ、知り合いが三人いました。それから2回目のアワード募集を聞き、その友人に相談したのがきっかけです。
ちょうどアワードの日程がこん太の初出荷の後で、タイミング的にも良かったこともありまして、少しでも認知が広がればと思って手を上げました。
》プレゼンで苦労したところはありましたか?
パワポをまだ使ったこともなかったし、50人入る会場で話す経験もありませんでした。しかもプレゼン慣れしている方が多く、その中にど素人が入ってしまったという感じで、そんな中、どうしたらこん太の良さが相手に伝わるのか苦心しました。
パワポの資料も、言いたいことを詰め込んだら20ページくらいになってしまって、(プレゼンの練習で)ポイントを絞って誰に向かって何を伝えたいのかが明確でないと言われたんです。
それから知人にパワポ資料を送ってみてもらい、いろんな方の知恵をいただきました。
》本番はどうでしたか?
前日のリハーサルでも柴田さん※2(アワードの企画運営者であり、プレゼン指導者。詳しくは文末にて)の顔が険しかったのを覚えています(笑)言いたいことはわかるけどと言われて。
ただ柴田さんのアドバイスで印象的だったのが、広報たんアワードは(観客のいるライブのため)何が起こるかわからないと言われていたんです。
わたしが(登壇する)三人に勝てるのはなんだろう。少しでも記憶に残りたいと考えて、以前に買ったみかんの被り物と、友達にもらったハッピを着ることにしました。
発表が三番目だったのですが、それまで衣装を隠しておいて、いざ自分の番というときにハッピと被り物を取り出してかぶったので、インパクトを与えられたんじゃないかなと思います(笑)
でも緊張したのかわかりませんが、本番で涙が止まらなくなってしまって。あまり本番のことは覚えていないのですが、話し始めたら緊張から涙を流して、でも会場の方がとても暖かくて「がんばって」とはげましてもらいました。
》被り物のインパクトと同時に、涙を流す姿にみなさん心を打たれたんですね。その後、静岡新聞や日刊スポーツに掲載されたということですが反響はどうでしたか。
翌日は静岡新聞に、翌々日は日刊スポーツに、その後もビジネスレポートさんにも記事を掲載していただきました。一年目はその3件くらいでしたが、街のみなさんに「新聞みたよー」とすごく声をかけていただきました。
それから昨年シーズンが終わったあと落ち着いていたのですが、年が明けて今年のシーズンに入りSBS『それいいね!』という情報番組から声がかかりました。
以前、ご縁があったディレクターさんがこん太のことを生放送で取り上げたいと言ってくれたんです。また、こん太についてSNSやホームページをチェックしてくれていて、そのとき「プレゼン大会で被り物をしていた」ことも見つけてくれていたんです。それで弟と被り物にもオファーがきて、放送日には女性アナウンサーの方が被り物をかぶっていました。
そのあとSBSを見たテレビ静岡『ただいまテレビ』からオファーが来ました。それからまた今年もビジネスレポートさんにも取材していただきまして、さらに静岡市農業政策課が生産者を紹介するページがあり、そちらにも取材していただきました。
それからK-mixラジオ(静岡のラジオ局)の話もあり、そちらは私が出演させていただきました。
またテレビ静岡の放送をみたSBSの夕方の番組『ORANGE』さんからもからもオファーをいただいて3月の頭に取材を受けます。
広報講座で教わりましたが、メディアがメディアを呼ぶって本当なんだなと、あれが現実に起こっていると感じています。
》こん太のブランドがじわじわと広がりつつあることを感じます。一年後にいい報道の連鎖としてつながっていますね。
はい。実は、去年のシーズンにプレスリリースをだしているんです。無人販売でペイペイのキャッシュレス を始めたというネタで、広報課のところにあるポストに投函しました。
でもそのときにはまったく反応がなかったんですが、今年テレビ取材の打ち合わせの時に話をしたら「それ面白いね!」と。
ディレクターさんのところへは情報がたくさん集まるので、番組を制作している方には(プレスリリースだけでは)なかなか届きにくいんだなということは感じました。
プレスリリースひとつを出すことにしても、どうしたら届くのか、またどうしたら面白いと思ってもらえるか、そんなことを学べています。
》広報講座で教わったことが、あとになって実感として感じられると?
そうなんです、本当に広報講座で聞いたときには「へー」くらいだったのが、本当に「なってる、なってる」と。
広報講座でもはよく数字に直結しないと言われていましたが、うちの場合は広報をやって、テレビに出てから売り上げが右肩上がりで、広報効果で売り上げ〇〇%上がりました。
(放映当日)テレビ番組の生放送をスタジオで見学していたのですが、こん太が放送された横から電話がどんどんかかってきて。夕方の帯の番組は強いですね。弟は途中からメモを片手にスタジオをでて注文を取っていました。うちは広報すればするほど売り上げに大直結しました。
》周囲の反応は変わりましたか?
前は、被り物をかぶってアワードに出ると言ったら、家族から大反対を受けて「恥さらし」と言われて望みました。ですが新聞やテレビに出たその後、家族はいろいろな方に声をかけられたようで。
散々家族から批判された被り物ですが、実は今、母がかぶって試食販売したりしてるんですよ。テレビの力はすごいですね、一度テレビに出たらガラッと変わりましたよ。
弟はプライドが許さないらしくてかぶらないんですけどね笑
》広報として今後の展望は
今はこん太自身がまだまだ認知されていないので、こん太の知名度を広げながら、ゆくゆくは生産者を増やすことも視野に入れていきたいです。そして弟の農家を法人化したいですね。
それから広報講師の柴田菜々子さんの言葉にあったのですが、広報同士はライバルじゃなくて、広報者同士手をつなぎあって、協力しあっていくものだそう。
広報たんアワードの後、登壇者であるお弁当の天神屋さんにも、こん太を扱ってもらったりとか、横のつながりも生まれています。
わたしのまわりにも、広報をやっているというだけで、「ここ紹介するよ」とみなさん協力してくださるんですね。
本当にわたしたち農家だけでは出会えない方とも繋がることができて、いろんなところにつないでいただいて感謝感謝ですね。
ですのでこれから広報職を目指す方のことも、ぜひ応援したいです。
》ますもとさん、ありがとうございました!
※2 Dラボ代表 柴田について解説。
当サードプレイスDラボの代表柴田は、これまで静岡初の大きなプレゼン大会を年2回、計10回以上開催し、大会のコメンテーターを務め、登壇者の指導も長年行っています。今回ますもとさんの話に登場する「広報たんアワード」も柴田による企画運営で、こちらでも登壇者の指導とアワードのコメンテーターを務め、広報担当者の育成に力を入れています。
Dラボでは、広報講座を不定期で行っております。(オンライン講座もはじめました!)
広報講座の詳細はこちら。